古城(こしろ)という地区のおかみさんたちが、味噌づくりに挑戦している。樽にねかせてあるものを袋詰めするというので応援にいった。加工場は休校中の小・中学校舎の調理室。
樽から盥(たらい)に移して袋詰め。袋の上部には空気が抜ける弁が付いている。味噌はまだ発酵している。麹が呼吸できるようにするためのものだ。
毎日、 安心して食べてもらえるよう無添加にした。綺麗な明るい色に仕上がっている。
みずみずしい味噌をなめてみる。正当派の味噌の味。やさしくやわらかい旨みと香りがいつまでも口の中に残る。
商品名は「古城(こしろ)味噌」。おかみさん市の直売所「十和の台所(四万十町十川)」などで販売する。
ある量販店でお客さんに試食してもらったことがある。評判は上々。
「香草」ともいうクレソン。その栽培地をみにいった。四万十川の支流の上流域の谷間にある集落。栽培地は休耕中の棚田。小川の水は透明度が高い。紅葉した落ち葉が水に沈む。その上を小魚の群れがいきかう。ツガニを獲るためのカゴもしかけてある。
ワサビが自生している小川から水をひき、湿地をつくっていた。水は澄んでいる。流れもある。水温は低い。湿地になっている一面にクレソンが生い茂っていた。
「3年ほどまえ、株を植えたら、すぐに増えた。ほとんどなにもしなくて育つ。もちろん農薬もかけない。10月から5月いっぱいまで収穫期。クレソンが伸びてふわふわになっていたのを一度収穫したが、すぐにまた伸びている。直販所に出荷しても、だれもクレソンのことを知らなかった。お客さんに説明したり、ポップをつくったりして、やっと、売れるようになった」と栽培農家のおかみさん。
栽培作物というより、自生している野草に近いようだ。種が流れていったのか、水路にもクレソンが自生している。
おかみさんが収穫している横で、ちぎって食べてみる。口の中に爽やかな香りが広がる。生でもおいしい。栽培農家のおかみさんは、おひたしや白和えにしてよく食べるという。ゆでても、炒めてもよし。西洋料理に使われる高級野菜というイメージがあるが、意外に便利で重宝。直販所では価格もお手頃だ 。(S)
稲、麦、蕎麦、豆類など、穀類は収穫の後、乾燥・脱穀作業をしなければならない。
ある農家の畑で、「にお」をみつけた。
収穫した大豆を乾燥させるために円錐状に積み上げ、いちばん上に藁屋根をかぶせている。
農村の秋の風情だ。
よくみると、大豆はまだ青い。しかも、普通の大豆にくらべ、ずいぶん小粒である。
農家のおかみさんにたずねると、一般の品種と違うらしい。小粒だが、栄養価は高
い。青いうちに収穫して、味噌の材料にするという。
他の農家にも、この大豆について訊いてみた。
「『青大豆』といって、この地域では、昔からある大豆。おいしいけれど、小粒だから収量的には少なくなるから、あまりつくる人はいない。つくっている人がおったかね」という話を聞いた。
四万十川流域には、古くからある品種がたくさん残っている。いつか、ゆっくり調査して歩きたいものだ。(S)
いま、おかみさんたちの畑では、白菜、大根、ニンジン、小松菜、ネギ、ワケギ、ニンニク葉、椎茸などなど、いろいろな野菜が育っている。山の斜面の小さな畑や石垣を築いた段々畑に、短い畝をたて、たくさんの種類を、手間をかけ、ていねいに育てる。「おかみさん市」の生産者のほとんどは少量他品目型の農家。ほ場は、畑というより、菜園と呼ぶのがふさわしいのではないか。
防虫ネットや寒冷紗をかけている菜園が多い。幼い苗や新芽を、害虫や寒さや風から守るためのもの。手間はかかるが、害虫を防ぐことができる。無農薬・減農薬栽培につながる。
さいきん、朝、霧がかかっていることが多い。運転のあいまに、大切に管理されている菜園を眺める。日々、野菜が大きくなっているのがわかる。朝のたのしみである。(S )
早朝、渓谷沿いの道を運転して集荷場へむかう。すでに軽トラが何台かとまっている。直販所に出荷する野菜をもってきた農家のおかみさんたちが集まって立ち話をしている。
「そばの花が満開になっているが、何種類もの害虫が発生している。葉っぱをみな食べられてしまった。そばの実が入るかどうか心配。虫がつくことはあったが、収穫できなかったことはない。こんなことは初めて。今年の夏があんまり暑かったせいやろうか?」
深刻な話題だ。
「地球温暖化の影響で害虫の数や種類が増えたのではないか」と心配そうなためいきをつく。
台風、日照り、旱魃、長雨など、近年、天候不順の年が増え、農業被害が増大している。それ以外にも、じわじわと温暖化の影響が農業の現場に現れているようだ。
それまでなんなく栽培できていた作物がつくれなくなってきたという話も聞く。県外で聞いた話だが、冷涼な高地の気候を利用して育てているリンゴなどは、年々、栽培が難しくなっているという。
シカ、サル、イノシシ、カラス、スズメなどによる鳥獣害も増大しているが、これも地球温暖化の影響とみる考え方もある。冬でも温暖な気候の年が多くなったため、鳥獣の死亡率が低くなり、その結果、個体数が増えた。
農業を続けるためには、地球温暖化に適応しなければならない。たいへんな時代になったものだ。(野菜集荷人 斉藤)
写真は花が咲きはじめた頃の蕎麦畑。9月初旬頃、奥大道で撮影。
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